首里城の入り口にそびえる守礼の門の役割とは?
守礼の門ってどんなところ?
沖縄県で最も有名な観光スポットのひとつ・首里城。
かつては琉球国王の居城であった首里城は、現在「首里城公園」として一般公開されています。
首里城公園の敷地には、首里城を中心に、お寺・井戸・門・聖地など、かつて首里城に付随していた様々な歴史的文化財が残されています。
そんな首里城公園内にある文化財の中でも有名なのが「守礼の門(しゅれいのもん)」です。
守礼の門は現在の首里城公園の入り口に構える、いわば「首里城の顔」とも言うべき朱色の門です。
門の上部には金文字で「守禮之邦(しゅれいのくに)」と書かれた額が掲げられており、これが門の名前の由来となっています。
実は、本来この門は「上の綾門(ウィーヌアイジョウ)」という名前の門だったのですが、額に掲げられた「守禮之邦」の文字の印象が強いためか、いつしか守礼の門と呼ばれるようになったと言われています。
守礼の門には首里城と同じ赤い瓦屋根が使われており、見様によっては首里城のミニチュア版のようにも見えます。
門の高さは7.05mで、巨大な門というほどではありませんが、首里城の敷地に入るための最初の門としては文句のつけようのない立派な門構えです。
国王が生活していた居住区まで行くためには守礼の門を超えた後、さらに巨大な複数の門をくぐる必要があり、守礼の門は国王を守るための第一関門のような役割も果たしていたのではないかと考えられます。
守礼の門は何のためにあるの?
守礼の門はもともと「上の綾門(ウィーヌアイジョウ)」と呼ばれる門でした。
最初に作られたのは1500年代前半で、その当時は現在のような赤瓦の立派な門ではなく板葺きの簡素な門だったと記録されています。
その後、幾度か立て直されて現在のような赤瓦の守礼の門が誕生しています。
ただしオリジナルの守礼の門は沖縄戦で焼失してしまったため、現在みられるのは1958年に再建された門です。
守礼の門には、首里城の敷地に許可なく立ち入らないように、という役割もありました。
しかしメインの目的は「中国からの使者を迎え入れるための門」だったのではないかと考えられています。
つまり、外国の偉い人たちを歓迎するために、立派な玄関を作っておいたということになります。
守礼の門のトレードマークとも言うべき「守禮之邦」の額も、もともとは中国からの使者に見せるために掲げられたと言われています。
この言葉は時の中国皇帝・万暦帝から琉球王国に贈られた「琉球は守礼の邦と称するに足りる」という言葉から来ていて、「琉球は礼儀を大切にする国である」という意味になります。
言葉に隠された裏の意味としては「琉球は中国への礼節を重んじる国だよね?」というニュアンスが含まれており、琉球王国が「守禮之邦」という言葉を掲げたのは、中国と友好関係を築きたいという意思表示だったと考えられています。
ちなみに、現在では1年中掲げられている「守禮之邦」の額ですが、当時は中国からの使者が来たときにだけ飾られていたといいます。
普段は「首里」と書かれた何の変哲もない額が飾られており、守礼の門が本当に中国からの使者向けに作られた施設であったことをうかがわせます。
かつては「がっかり観光地」なんて言われてしまうことも…?
守礼の門はかつて、北海道の「時計台」や長崎県の「オランダ坂」と並ぶ「日本三大がっかり観光地」なんて言われていました。
かなり有名だけど、実際に行ってみると全然見るところが無くてガッカリしてしまうという不名誉な称号です。
しかし、がっかり観光地のイメージを持ったまま実際に守礼の門を訪れてみると「意外にちゃんとした観光地だ」と驚かれるかと思います。
というのも、実は守礼の門が「がっかり観光地」と呼ばれていたのはもう30年近くも昔の話なのです。
当時、守礼の門ががっかり観光地と呼ばれていたのは、首里城の再建が終わっていなかったからでした。
実は守礼の門は首里城の再建より30年も昔に復元されていて、「このあたりには守礼の門しかない」という状況が30年近くも続いたのです。
今は首里城の遺構が次々と再建されたため、守礼の門も「大きな城跡の一部」になっていますが、当時は原っぱにポツンと佇む門に過ぎなかったのです。
沖縄がアメリカに占領されていて旅行も大変だった時代、苦労して辿りついた場所にポツンと門ひとつしかなかったら、それはがっかりしてしまうのも仕方ないでしょう。
現在は首里城も再建され、守礼の門で琉球の衣装を着て写真撮影をするサービスなども始まっているため、守礼の門をがっかり観光地と呼ぶ声はほとんど聞かれなくなりました。
がっかり観光地の汚名を晴らした守礼の門は、沖縄県内から唯一紙幣に印刷された建築物になるなど、誰も文句をつけない「沖縄を代表する建造物」のひとつになっています。
守礼の門に関する情報
守礼の門は首里城公園の無料エリアに位置しています。
そのため、首里城への入場料を支払わずに見学することが可能です。
夜間はライトアップされますが、日中に見学したほうが色鮮やかな守礼の門が見られますよ。
場所・アクセス
住所
沖縄県那覇市首里金城町1-2
アクセス方法
那覇空港から出発する場合、車かモノレールで行くのがオススメです。
車の場合は那覇空港から約40分ほどで守礼の門に到着します。
首里城には有料駐車場が完備されていますが、シーズンによっては満車になることもあるので注意しましょう。
専用駐車場が満車だった場合は、付近のコインパーキングを利用します。
モノレールの場合は、那覇空港駅から首里駅まで一直線で向かいます。
首里駅から守礼の門まではだいたい15分ほど歩く必要がありますが、道は難しくないのですぐに到着できるはずです。
モノレールで30分、徒歩で15分の計45分の移動時間がかかります。
営業時間
- 4月〜6月 8:00〜19:30
- 7月〜9月 8:00〜20:30
- 10月〜11月 8:00〜19:30
- 12月〜3月 8:00〜18:30
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