人類発祥の島と伝わる古宇利島にそびえるハートロック
ハートロックってどんなところ?
沖縄本島から車で渡れる離島・古宇利島には、ハートロック呼ばれる岩があります。
その名の通り、正面から見るとハートの形をしている岩です。
ハートロックの正体は沖縄の海岸に多くみられる「ノッチ」という奇岩です。
ノッチは海中に建っていた岩が何万年という時間をかけて波に削られ、下部が細くなってキノコのような形になってしまうことで生まれる岩です。
キノコ形のノッチなら沖縄県内どこの海岸でも見られますが、古宇利島のようにキレイなハート形になったノッチは珍しいです。
地形や風向きなどの偶然が数万年にわたって幾重にも重なることで、このようなハート形の岩が生まれます。
古宇利島のハートロックは、まさに自然が生み出した芸術作品といってもよいでしょう。
ハートロックは昔からこの場所にありましたが、ほんの数年前までは地元の人以外ほとんど人が訪れない場所でした。
実はハートロックが建つ海岸「ティーヌ浜」は古宇利島でも畑地帯の奥のほうにあり、また浜に下りるための地形も険しかったため、観光客にはほとんど知られていなかったのです。
しかし古宇利島と沖縄本島を繋ぐ「古宇利大橋」の開通により古宇利島を訪れる観光客が急増し、古宇利島の名所としてハートロックが紹介されはじめたことにより、島外の人にもその存在が知られるようになってきました。
極め付けは、2014年ごろに人気アイドルグループ「嵐」のメンバーがこの場所を訪れ、JALのCM撮影を行ったことでした。
嵐のメンバーがハートロックを眺めながら会話をするという内容のCMで、このCMが全国で流れるとハートロックはたちまち話題になったのです。
現在ではハートロック周辺にいくつかの有料駐車場も設置され、毎日多くの観光客を集める人気スポットとなっています。
恋の島にそびえるハート形の岩
ハートロックのある古宇利島は、地元では「恋の島」の別称を持つ島です。
もともと古宇利島は方言で「恋島(くいじま)」とも呼ばれていたのです。
古宇利島が恋の島と呼ばれるようになったのは、この島に伝わる伝説が関係しています。
実はこのあたりには昔から古宇利島を「人類発祥の地」だとする言い伝えがあり、その逸話が神話のアダムとイヴの話によく似ているのです。
言い伝えによれば、そのむかし古宇利島には男性と女性が1人づつ暮らしていたといいます。
その男女は空から降ってくる餅を食べて暮らしていたため、働くこともなく服も着ず、毎日楽しく暮らしていました。
しかしひょんなことがきっかけで神の怒りを買い、その日を境に空から餅が降ってくることはなくなってしまいます。
遊んで暮らすわけにもいかなくなった2人は働くことを覚え、ジュゴンの交尾を見て子作りの術を学びました。
2人は夫婦となり、男女の違いと恥じらいを覚えて服を着る文化を築き上げたといいます。
それからやがて産まれた男女の子供たちが、現在の沖縄県民の先祖だったというお話です。
このような逸話から、古宇利島は恋の島と呼ばれるようになりました。
そして最近では、ハートロックの存在が広まったことで益々「恋の島」というイメージが強まり、古宇利島を「恋愛成就のパワースポット」と考える方も増えているようです。
もちろん言い伝えの真相は定かではありませんが、沖縄で初めてカップルが生まれたという島に建つハート形の岩…なんだかロマンチックに思えてしまう気持ちも分かりますね。
見る角度によって違ったハート形になる
ティーヌ浜に下りてみると、ハートロックらしき岩が2つあることに気付くでしょう。
ひとつはハート形ですが、もうひとつはハートというよりもキノコ形のノッチです。
そのため、何も知らずに行くともともとハート形をしている方に注目してしまう観光客が多いです。
しかし実は、ハートロックの真の姿は2つの岩を合わせて見たときにこそ現れます。
ハートロックの見方には3通りの方法があり、見る角度によって違ったハート形が現れるようになっているのです。
ハートロックの見方その1. シンプル
ひとつめの見方は「シンプル」と呼ばれる方法。
これはもともとハート形をしている岩を眺めるだけの方法ですね。
ここを訪れた観光客のほとんどが、この方法でハートロックを鑑賞しています。
ハートロックの見方その2. Wハート
ふたつめの見方は「Wハート」と呼ばれる方法。
嵐のCMで紹介されていたのがこの見方で、2つの岩を重ねて眺めることで1つのハート形ができます。
海岸を歩きながら、2つの岩がちょうど重なる地点を探してみてください。
ハートロックの見方その3. 逆ハート
ちょっとレアなのが「逆ハート」という方法。
2つの岩が少しだけ重なる地点で足を止めると、岩と岩の間に空いたスキマがハート形に見えるんです。
この方法で出来るハートは逆向きなので逆ハートと呼ばれています。
ハートロックに関する情報
ハートロックは自然物なので見学料はかかりません。
しかし周囲は私有地なので、有料駐車場に車を停めなくてはならないということに留意しましょう。
付近にはいくつかの有料駐車場がありますが、それぞれ料金が違います。
大体1時間で300円〜500円ほどの駐車場が多いようです。
場所・アクセス
住所
沖縄県国頭郡今帰仁村古宇利
アクセス方法
古宇利島は那覇から車で2時間ほどの場所にあります。
バス等で行くことも可能ですが、島に入ってからもハートロックまではかなりの距離があるので車で行くのが賢明です。
車で行く場合、那覇空港から一旦南下して那覇空港自動車道に入り、そこから沖縄自動車道(高速道路)に合流して北上するルートが一番シンプルで早いです。
最北の許田ICで高速を降り、あとは国道58号線を北上していくと古宇利島への案内図が見えてくるはずです。
古宇利島に入るには一度、奥武島と屋我地島という別の離島を経由する必要があり、島内で迷いやすいので案内図を見逃さないように進みましょう。
古宇利島に入ったら、島内道路を左折してください。
右手に「古宇利家」という飲食店が見えたら、次の脇道を左折して直進です。
突き当りに有料駐車場がありますので、お好きなところに停めて、そこから徒歩5分でハートロック到着です。
営業時間
ハートロック自体は夜間でも見学可能ですが、駐車場に営業時間があるので注意しましょう。
地元の方がやっている駐車場なので営業時間はそれぞれ異なりますが、10:00〜18:00ごろまでならほとんどの駐車場が営業中なので安心です。
服装について
砂が驚くほどフカフカしているので、ヒールだとほぼ歩けないと思います。
スニーカーでも構いませんが、柔らかい砂が靴の中に入り込みやすいのでゾウリで行くのがオススメです。
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