戦争の歴史を今に伝える旧海軍司令部壕
旧海軍司令部壕ってどんなところ?
旧海軍司令部壕は、第二次世界大戦中に掘られた防空壕の跡です。
厳密には1944年に掘られたもので、日本海軍設営隊(山根部隊)によって設営されたと言われています。
沖縄県内には数多くの防空壕が残されていますが、そのほとんどは沖縄県民が避難するためのものでした。
しかし旧海軍司令部壕は日本海軍の司令部として使用されていた場所で、使用目的から構造まで様々な点で他の防空壕と異なります。
かつては450メートルほど続いていたとされる旧海軍司令部壕ですが、現在はそのうち300メートルが復元され見学可能となっています。
県内の小中学生が平和学習のために訪れるほか、沖縄が体験した戦争の歴史を学べる貴重な歴史遺産として世界各国から観光客を集める場所になっています。
ちなみにこの場所が公開されている主な目的は平和学習なので入場料は格安となっており、予約すれば専門のガイドさんが無料で同行してくれるという見学プランも利用できます。
壕内に残る戦争の痕跡を探してみよう
旧海軍司令部壕は戦後しばらく放置されたままの状態になっていました。
1970年の3月に公開されるまで、実に20数年も遺骨や遺品がそのまま残された状態で手付かずだったのです。
現在は埋まっていた部分を復元するなどして入場可能になりましたが、復元とはいっても人が通れるようにしただけなので大部分が当時のまま残っています。
さすがに遺骨は残っていませんが、今でもパッと見渡しただけで戦争の痕跡を見つけることができるでしょう。
例えば、入口からしばらく進んだところにある「幕僚室(ばくりょうしつ)」には、当時ここで何が起こっていたのかを物語る痕跡が残されています。
幕僚室の壁には一面にわたって小さな穴が空いているのですが、この穴は当時の幕僚(指揮官を補佐する立場の人)が手榴弾で自決したときの跡だということがわかっています。
もちろん、この場所で亡くなった方は幕僚ひとりだけではありません。
ここで亡くなった日本兵の正確な人数は不明ですが、戦争中の海軍司令部壕には少なくとも4000人の兵士が収容されたと言われています。
収容された時点で重症を負っていた兵士や自決した兵士も多かったことから、ここでは数え切れないほどの人数が亡くなったと推測できるのです。
壕内をよく見て回れば、そうした悲惨な歴史の痕跡がいくつも見つかることでしょう。
少し怖く感じるかもしれませんが、終戦から数十年が経過した現在、ここまでリアルに戦争の雰囲気を感じ取れる場所は貴重になってきています。
他の防空壕とは全く違う造りになっている
一節には、沖縄県内には2000ヶ所もの防空壕があったと言われています。
しかしそのほとんどは自然に出来た洞穴を利用したものか、地元民が避難するために掘った単純な横穴です。
そんななかで、旧海軍司令部壕はコンクリート製の頑丈な造りをした壕となっています。
蒲鉾型にくり抜かれた横穴はトンネルのように奥深くまで続き、コンクリートと杭木で固めた頑丈な造りになっているのです。
このようにしっかりと形作られた壕は、防空壕が多い沖縄県内を見渡してもそう多くはありません。
旧海軍司令部壕がこうした頑丈な造りになっているのは、ここが沖縄戦における重要な拠点であったことを示しています。
攻め込んできた米軍の艦砲射撃に耐え、何日も持久戦を行うことを想定した壕になっており、この場所を守りぬくことができるかどうかは沖縄戦の戦局を左右したことでしょう。
当時の日本軍がここを守りぬくことができたのかどうかは、旧海軍司令部壕敷地内にある「旧海軍司令部壕資料館」で詳しく確認することができます。
旧海軍司令部壕に関する情報
旧海軍司令部壕は本物の戦跡なので、グロテスクな表現が苦手な方は行かないほうがいいかもしれません。
観光というよりも、あくまで戦争の歴史を学ぶための平和学習の場所として静かに利用しましょう。
入場料
- 大人 440円
- 子供 220円
場所・アクセス
住所
沖縄県豊見城市豊見城236
アクセス方法
旧海軍司令部壕は、那覇空港から約5kmの場所にあります。
タクシーでも20分ほどで行けますので、那覇空港出発なら1000円前後の運賃で到着できるかと思います。
バスで行く場合は、那覇空港から一旦モノレールに乗って旭橋駅まで行きましょう。
旭橋駅で降りたら徒歩で旭橋バス停まで移動し、98番か55番に乗って宇栄原団地前で下車します。
宇栄原団地前からは徒歩移動になりますが、そこから5分ほどで旧海軍司令部壕が見えてきます。
営業時間
- 10月〜6月 8:30〜17:00
- 7月〜9月 8:30〜17:30
服装について
基本的に自由ですが、壕内はそれなりに広いので歩きやすい格好で行きましょう。
段差のある部分もありますので、スニーカーなどの靴がオススメです。
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